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皆さんこんにちは。MOSHIMOHACK代表の寺澤です。

今回は災害時の口腔ケアについてお話をしていきたいと思います。

よくYoutubeなどで防災関係の発信をしている方が非常に増えてきている中で、「おすすめの備蓄品!」とか「購入すべき災害グッズ!」など紹介している方、多いですよね。(僕もやったことあるんですけど笑)

そういった動画を見させていただいていると、おすすめの防災グッズとして紹介しているものの中に、意外と歯ブラシ・口腔ケアグッズを入れていない人が結構いるんですよね。

美味しい非常食や便利グッズなどの紹介。もちろんこれらも大事なんですが…これらばかりで歯ブラシ口腔ケアについては何も言わない人、災害発生時の口腔ケアの重要性について触れない人、結構多いんです。

個人的にはそれではダメだなと思っております。

防災士、そして救急救命士の資格を持っている僕の立場から正直に言わせてもらうと、たとえ災害時であろうと、口腔ケアを疎かにすることは命の危険にすら繋がるNG行動です。

避難生活が長期化していった場合、満足に歯磨きができないという、「それだけ」で死につながる可能性があるということをぜひ知っておいていただきたいんです。


虫歯や歯周病など、口周りの病気だけにはとどまらないということをぜひ覚えていただきたいということで、今回は被災時の口腔ケア、この1点だけに絞ってお話をさせていただきたいと思います。

皆さん、普段歯磨きしますよね。

ルーティンになってますよね。「歯磨きしないと気持ち悪くてベッドに入れないよ…」なんて人もいますよね(僕もそうです)。

そのため僕らってあまり頭で考えることなく、ルーティン的な感じで日々歯磨きをしている状態だと思うんです。

でも、この歯磨きという行為、実は色々な病気の予防に一役買ってくれているわけです。

「歯磨きしないと死につながる!」というのは決して大げさな話ではなくて、歯が磨けないということによって虫歯菌、そして歯周病菌が口の中に繁殖し、その細菌が虫歯で開いた穴から顎の骨に移る。そしてその骨から血液に移る。そして最終的には血流によって細菌が全身臓器へと運ばれていって、そこで悪さをして病気を発症する…というケース、実際に少なからずあるんです。

大きな地震があった時、避難所で暮らすことが想定されますよね。

その避難所で配給された非常食を食べながら、なんとか栄養的には生きながらえることができたとしても。

例えば歯周病から心臓を患ってしまって、その後社会復帰ができなくなってしまった…というケースも実際に起きているんです。

ということで、実際に災害時に起きる「虫歯や歯周病などが原因で発症する病気を大きく3つに分けて紹介させていただきたいと思います。

虫歯や歯周病が原因で発症する病気1つ目は、狭心症・心筋梗塞・心膜炎など、心臓に関わる大きな病気です。

この中で特に虫歯が原因で引き起こされることで有名な病気があって、それが心膜炎という心臓の病気になります。

心膜炎は、歯周病などによって炎症した歯茎から虫歯菌が入り込んでしまって、それが血流に乗って心臓に辿り着き悪さをするような病気、と考えていただければ結構です。

虫歯菌も立派な細菌なので、心臓が細菌感染症を起こしてしまい、胸の痛み、息の苦しさ、高熱といった様々な症状が発症します。

そしてそれが悪化すると、もっと危険な心臓病と言われる心筋梗塞などの重大な病気に繋がってしまうケースもあるということです。

虫歯や歯周病が原因で発症する病気2つ目は、脳梗塞になります。

脳梗塞についてはなんとなくイメージがある方がいるかもしれませんが、(何らかの原因で)脳の血管が詰まってしまい、脳に血液(=酸素や栄養)が行かず壊死してしまう病気のことを指します。

「動脈硬化で血がドロドロになっている人は、脳の血管が詰まりやすいので脳梗塞になりやすいよ!」という話を聞いたことがある方も多いとは思います。

口腔ケアを怠ることで発生する虫歯菌・歯周病菌の中には、血液をドロドロにさせる働きを持つものがいたり、血管の中にプラークという脂肪の塊を作り出したりする働きを持つものがいます。

これは医学的な研究でも明らかになっていることで、歯周病を持っている人はそうでない人に比べて脳梗塞の発症リスクが約3倍高くなるというデータも明確に出ています。

脳梗塞の症状としては、顔の歪みが起きたり、突然ろれつが回らなくなったり、あとは片方の手が動かしにくくなったりするなど、様々なものがあります。

脳の血管が詰まっている状態をそのまま放置しておくと、より症状は悪化していって壊死が進み、意識障害や呼吸抑制といった症状に進行していって、最終的には亡くなってしまうこともある重篤な病気です。

虫歯や歯周病菌が原因で発症する病気3つ目は、糖尿病をはじめとする基礎疾患の悪化になります。

特に糖尿病を患っている方は、虫歯・歯周病には十分注意が必要で、虫歯と糖尿病は互いに負のスパイラルを与え合うということが医学的に分かっています。

簡単に説明すると、まず糖尿病になると体の免疫が下がるので、より一層虫歯になりやすくなります。そしてこの虫歯菌が血管に入ると、より血糖値を正常にコントロールする能力を下げてしまうので、さらに糖尿病が悪化。さらに免疫が下がって虫歯もますます悪化しやすくなり、虫歯菌がまた血流に乗って血糖値をコントロールできなくなり…という悪影響・悪循環が無限に続いていってしまうということになります。

この悪循環に1度入ってしまうと、根本的な治療をしない限り、どんどんどんどん体は弱っていきます。

このように、お話しした3つの病気は、速やかに医療機関で治療を受ければ十分助かる可能性がある病気なんですが、こと災害時は病院に行きたくても行けない、必要な医療の提供が受けられないという状況も大いにありえますよね。

『たかが虫歯』と思うかもしれませんが、口腔ケアを怠ることで、今述べたような病気になり、その時適切な医療が受けられず亡くなってしまうリスクは確実に上がっていきます。

災害時は食事、そして睡眠、これらと同じくらい口腔ケアが重要だということを是非覚えておいてください。

大地震発生に備えて用意しておきたい口腔ケアグッズ5選

ではここからは、災害時に口腔トラブルを防ぐために備えておくべき口腔ケアグッズを5種類、簡単に紹介をさせていただきたいと思います。

これから紹介する5つのグッズの内容を見て、『まだウチはちょっと足りてないな…』と感じた方は、ぜひこの機会に口腔ケアグッズを買い足して備蓄に加えてみてください。

災害時に役立つ口腔ケアグッズ。まず1つ目、これは当たり前ですが「歯ブラシ」になります。

これがないと歯磨きができないですからね。

ちなみに、歯ブラシを選ぶ時のポイントとして、①先端が小さく口の奥まで入りやすいもの、②毛先が細くて歯と歯の間に入り込みやすいものという2つの観点で歯ブラシ選びをするのがおすすめです。

災害用の備蓄という観点で言えば、最低でも一人につき2本は歯ブラシを備えておけるとより安心です。

災害時に役立つ口腔ケアグッズ、2つ目は「歯磨き粉」になります。

こちらも必須と言えると思います。

最悪、水だけでも歯磨きはできるんですが、より効果的に歯磨きをするために歯磨き粉を1本は用意しておけるといいと思います。

歯磨き粉というところで特におすすめなのが、「災害用の液体歯磨き」というもの。いわゆるリステリンなどです。

例えば大地震発生の影響で断水が起きていて、水道水で口を濯ぐことができないという状況でも、これを少し口に含んでからブラッシングをして(結構泡が立ちます)、それを一旦吐き出してしまって、もう一回同じものを口に含み、それでうがいをして…という形で歯磨きをしていただければ。問題なく口腔ケアができます。

もしもの時のために、リステリンみたいなものを1本備えておけると非常にいいかと思います。

災害時に役立つ口腔ケアグッズ、3つ目は「デンタルフロス」になります。

僕は歯医者さんではないのであまり詳しいことは言えないんですけれども、歯ブラシだけでは歯と歯の間に残った汚れを完全に落としきることは難しいです。

歯と歯の間に残った汚れが原因で歯周病になっていってしまいます。

普段から歯磨きに加えてデンタルフロス(歯間ブラシと言われるものですね)は絶対に使うようにした方がいいということです。

当然、災害時にも口腔ケアのグッズとしてあった方がいいものとして挙げられるかと思います。

災害備蓄でこのデンタルフロスを備えておくとしたら、糸を巻き出すタイプのデンタルフロスがおすすめです。

1個ずつ持ち手が付いているタイプを使っている人も多いと思いますし、僕も普段はそれなんですが、糸を巻くタイプの方が圧倒的にコンパクトで、災害の備蓄として収納がしやすいからです。

個人が非常用の持ち出し品として持ち出せる量には限界があるため、荷物を最小限に留めるという意味でもコンパクトな糸を巻き出すタイプのデンタルフロスを一つ用意しておくのが非常におすすめです。

災害時に役立つ口腔ケアグッズ4つ目。これは災害用の備蓄に特化したアイテムとも言えると思うのですが、「歯磨きシート」と呼ばれるものになります。

ボディーシートのような薄いシートを指に巻き付けて歯をゴシゴシと擦ってあげるものになります。

このシートのいいところは、何より水がいらないこと。そして歯ブラシや歯磨き粉を単体ずつ持つよりも、コンパクトに収まるということでしょう。

どうしても歯ブラシで歯を磨くのに比べると磨き残しが出やすいですし、デンタルフロスのような歯間の汚れを落とす効果は得られにくいんですが、非常にコンパクトなので、持ち出し袋の容量によっては歯ブラシを減らしてこちらを投入するなどの選択肢も大いにあり得るかと思いますので、ぜひ検討をしてみてください。

最後、災害時に役立つ口腔ケアグッズ5つ目は、「キシリトールガム」になります。

『なんでガム…?』と思うかもしれないんですが、ガムを噛むことで口の中に唾液が多く分泌されますよね。人の唾液には虫歯を防ぐ役割があるため、虫歯予防としてガムは非常に効果的なんです。

また、ガムを噛むという行為にはリラックス効果もあるため、災害時・避難生活中のストレス軽減にも一役買ってくれます。

ぜひこちらも1つ備蓄をお勧めしたいと思います。

よく非常食として羊羹とか飴ちゃんとか備えている人いますよね。避難生活中にこういう甘いものを食べるのは非常に大事というのは毎回動画でお伝えさせてもらってるんですが、飴や羊羹をばくばく食べて、その後歯磨きをしなかったら…?当然虫歯になりますし、その後の重篤な病気のリスクも上がっていってしまいますよね。

非常食を備えておくならば、ぜひ一緒にガムも備蓄をしておいてください。

ということで、今回は災害時意外と見落としがちな口腔ケアの重要性、口腔ケアを怠ることによる危険性、そしておすすめの口腔ケアグッズなどについてざっとお話をさせていただきました。

みなさんの非常用持ち出し袋の中には、今、歯ブラシ、歯磨き粉、歯間ブラシなどは入っていますでしょうか?

この動画を見て、「災害時にこそ口腔ケア、侮ってはいけないな…!」ということが少しでも伝わっていましたら、もう一度持ち出しグッズの中身を確認していただいて、必要な口腔ケアグッズを買い足していただくことを強くおすすめしたいと思います。

いつ来るかわからない災害に備え、できるだけ早めに、必要な口腔ケアが避難生活中もしっかりとできるよう準備を始めてみてください。

それではまた。