防災備蓄の管理は、総務が1人でも回せますか。BCP対策で1人に任せてよい仕事と、任せてはいけない仕事

買い足しと入れ替えの作業は、1人でも回せます。回せないのは、決めるところです。中小企業庁は、運用体制を1人にしてよいのは家族経営のような企業までとし、総務・財務・労務などで役割分担が決まっている会社では各部署からサブリーダーを参画させるよう求めています。内閣府も、備蓄を含むBCP・BCMの見直しを経営者が年1回以上行うものとしています。総務1人の会社に足りないのは、人手ではなく年1回の決裁の場です。

目次

根拠の数字

防災備蓄そのものの管理頻度を定めた法令はありません。かわりに、備蓄を含むBCP対策の点検・見直しについて、国が誰の仕事としてどの頻度で求めているかは、はっきり書かれています。

やること誰の仕事か頻度
BCPを含むBCMの内容・実施状況の点検各部局のBCM担当者、BCM事務局定期的(年1回以上)
BCMの見直し経営者定期的(年1回以上)。自社の事業戦略や次年度予算を検討する機会と連動させる
BCPの更新会社大きな事業変化がない場合でも1年ごと
従業員の連絡先など安否確認に関するものの更新会社・従業員即時
教育・訓練運用体制継続的に。とくに体制変更・人事異動・新規採用があったとき
備蓄品の在庫確認・配給発災時の担当班発災時(平常時は在庫と期限の確認)
出典:内閣府(防災担当)「事業継続ガイドライン」令和5年3月 Ⅶ章・5.1.3・脚注84/中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」3.5.2/東京都「帰宅困難者対策ハンドブック」令和5年3月 13ページ(2026年9月16日確認)

内閣府「事業継続ガイドライン」のⅦ章は、この2つを別々の主語で書いています。「各部局 BCM 担当者や BCM 事務局は、BCM の有効性低下や BCP の陳腐化を防ぐため、BCP を含む BCM の内容や実施状況等について、定期的(年 1 回以上)に点検を行う必要がある」「経営者は、BCM の見直しを、自社の事業戦略や次年度予算を検討する機会と連動して、定期的(年に 1 回以上)に行う必要がある」。点検する人と、見直しを決める人が分けて書かれている、ということです。

中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」の3.5.2も、頻度について同じ線を引いています。「BCPは継続的に更新されることが望まれますが、定期的な更新を行うべき頻度や、行うべき条件は、会社の特性や規模等によって変わります」「このような大きな事業変化がない場合でも1年ごとの見直しが望まれます」。そのうえで、「見直し結果を踏まえて改善点を洗い出し、BCPに対する取組み全体を評価して、次年度の改善提案につなげることは経営者の責務です」と書いています。

この基準は誰向けか。自社にどう読み替えるか

資料対象拘束力
内閣府「事業継続ガイドライン」令和5年3月規模を問わず全ての企業・組織ガイドライン。罰則なし
中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」中小企業指針。罰則なし
東京都「帰宅困難者対策ハンドブック」令和5年3月都内の事業者条例第7条第2項は努力義務。備蓄量の目安に法的拘束力はない
消防法・同施行令・同施行規則収容人員50人以上の事務所など義務。備蓄の「置き方」はここに入る
出典:各資料および消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2第3項第1号ハ(2026年9月16日確認)

読み替えの要点は1つです。備蓄の管理そのものに法的な義務はありませんが、備蓄品を「どこに置くか」だけは義務の側に入ります。ここを分けておくと、社内で何を約束して何を約束しないかが決めやすくなります。詳しくは下の「実務でつまずく点」の5番目に書きます。

何を1と数えるのか

「総務が1人でも回せますか」という問いは、多くの場合仕事量を人数で見積もろうとして行き詰まります。従業員が3倍になれば管理の手間も3倍になる、という感覚です。実際には、そうなりません。

管理の手間を決めるのは、人数ではなく「期限を見張る行の数」です。ここでいう1行とは、1つの品目の、1回の購入分のことです。同じ品目でも、買った時期が分かれれば期限も分かれるので、行が増えます。

  • 行が増える原因は、人数ではなく買い足しです。100人分をまとめて買えば1行。あとから20人分だけ買い足すと、期限の違う2行になります
  • 1行あたりの数量は人数に比例します。増えるのは物量であって、見張る対象の数ではありません
  • 品目を1つ足すと、行が1つ増えます。数量が少なくても、期限を見張る手間は同じだけかかります

この数え方にすると、1人で回せるかどうかの判断が具体的になります。200人分を5品目まとめて買った会社は5行、50人分を12品目バラバラに買い足してきた会社は数十行。後者のほうが、規模は小さいのに管理は重くなります。

なお、行あたりの数量を出すもとになる算定人数は、在籍人数ではありません。東京都は、対象を「発災時及びその直後に職場にいるであろう従業者」とし、アルバイトや委託業者の職員も含むとしています。数え方は従業員100人の会社は、防災備蓄を何人分そろえればいいですかにまとめています。

計算例(100人と300人)

公表基準の3日分で置いたときの数量です。人数で増えるものと、増えないものを並べます。

項目100人300人人数で増えるか
水(1人1日3L・計9L)900L=2Lボトル450本2,700L=1,350本増える
主食(1人1日3食・計9食)900食2,700食増える
毛布(1人1枚)100枚300枚増える
トイレ使用回数(1人1日5回×3日)1,500回4,500回増える
水・食料・毛布の保管面積(高さ1mに積んだ場合)約3㎡約9㎡増える
期限を見張る行の数品目数×購入回数品目数×購入回数増えない
年1回の点検と見直しの回数各1回各1回増えない
出典:内閣府(防災担当)「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」令和8年1月改定 参考資料2(水3L・主食3食・毛布1枚)/内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」令和6年12月改定(1日5回)/東京都「帰宅困難者対策ハンドブック」令和5年3月 47ページ 条例Q&A(100人×3日分で約3㎡)。保管面積に簡易トイレ・衛生用品・敷物・救急医療薬品類は含まれていない(2026年9月16日確認)

人数が3倍になっても、年1回の点検と見直しは年1回のままです。増えるのは棚卸しの物量と、入れ替えのときの発注量。つまり、1人で回せるかどうかを分けるのは規模ではなく、行の数と、決める場があるかどうかです。

日数の置き方(3日分は第1段階)

上の表は公表基準の3日分で計算しています。内閣府・東京都が示す3日分は最低ラインであって、到達点ではありません。トイレについては経済産業省が「1人あたり35回分(7日分)の災害時トイレの備蓄が必要です」としており、品目によって国が示す日数が違います。

当社では、7日分を到達点に置いて提案しています。そのうえで、3日分から段階的に進める会社が多いのは事実であり、これは妥協ではなく現実的な順序だと考えています。管理の観点から言えば、3日分で計画を閉じてしまうと、翌年度の見直しに載せる議題が消えます。稟議には「次年度以降に上積みを検討する」の1行を残しておくと、年1回の見直しがそのまま次の一手になります。日数の使い分けは防災備蓄は何日分そろえればいいですかに整理しました。

なお携帯トイレの枚数について、当社では、算定人数の誤差と、災害時のストレスによる使用回数の増加を見込んで、予備率20%を乗せて置いています。上の表でいえば100人で1,800枚、300人で5,400枚です。これは当社が導出した値で、公表基準ではありません。顧客と協議して確定します。

実務でつまずく点

1. 「1人で構わない」と国が書いている会社の規模は、家族経営まで

中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」2.2は、策定・運用体制の人選についてこう書いています。

家族経営のような企業では経営者1人でも構いませんが、総務、財務、労務、技術、営業など役割分担が決まっている場合は、各部署からサブリーダーを参画させてください。

「総務が1人で防災備蓄を見ています」という状態は、指針が想定している体制から外れています。同じページは「BCPの策定・運用は最重要の経営課題であり、経営者のリーダーシップが不可欠です」とも書いており、経営者が率先して当たることを前提にしています。

ここで重要なのは、これが人手を増やせという話ではないことです。1人の担当者が抱え込んでいるのは作業ではなく、決裁がない状態です。そして決裁が下りない原因は、たいてい金額の大きさではなく、数量の根拠が担当者の判断に見えてしまうことにあります。人数を正確に数えて、その根拠を紙で示せるようにすると、稟議は「総務の希望」から「会社の必要量」に変わります。正確に数えることは、予算を通すための近道です。

2. 計画を作り終えた時点で、体制を解散してしまう

内閣府「事業継続ガイドライン」2.2は、体制についてこう書いています。

取組が進み、BCP 等を策定した後も、この体制を解散させず、事前対策及び教育・訓練の実施、継続的な見直し・改善を推進するための運用体制に移行させ、BCM を維持していく必要がある。

備蓄でこれが起きると、症状が分かりやすく出ます。買った年はプロジェクトだったものが、翌年から総務の雑務になる。そのまま数年が過ぎ、期限が切れかけて初めて話題に戻ります。備蓄は買った日に終わるのではなく、買った日から始まります。解散させないというのは、会議体を残すという意味ではなく、次にいつ入れ替えるかを誰が持っているかを決めたままにしておくということです。

3. 見直しのきっかけは、社内だけでなく社外からも来る

中小企業庁3.5.2は、BCPを更新すべき条件を7つ挙げています。組織体制の変更、取引先の変更、中核事業の変更、新しい事業ライン・製品・サービスの開発、主要な情報通信システムやネットワークの大幅な変更、サプライチェーンからの要求の変更。そしてもう1つが、「あなたの会社の業務に関連する、国や業界のガイドラインが改訂された場合」です。

これは抽象的な条件ではありません。備蓄に関係する改訂は、実際に起きています。

いつ何が変わったか備蓄への影響
令和8年1月内閣府の企業向けガイドラインが「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」へ改称。地震以外の要因を第2部として新設し二部構成に備蓄量の考え方(参考資料2)は据え置き。ただし社内文書が旧名称のままだと、確認しに行った人が別の資料に当たる
令和8年4月1日食物アレルギーの特定原材料(表示義務)にカシューナッツが移行、表示推奨にピスタチオが追加。2年間の経過措置期間がある備蓄は5年前後の長期保存品なので、倉庫の在庫がそのまま経過措置期間をまたぐ。表示に無いことを安全の根拠にできない期間が続く
出典:内閣府「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドラインの一部改定について(概要)」令和8年1月/消費者庁「アレルギー表示について」令和8年4月時点、同 食品表示課 事務連絡 令和8年4月1日(2026年9月16日確認)

1人の担当者が、国の複数の省庁の改訂を毎月追い続ける設計にはできません。現実的なのは、年1回の見直しの場で「この1年に関係する改訂があったか」を議題の1行として必ず確認することです。中小企業庁も、更新の頻度そのものを〔様式02〕BCPの基本方針に記入して決めておくよう求めています。

なお同じページは、「ただし、従業員の連絡先の変更等安否確認に関するものは即時に更新されることが望まれます」としています。年1回でよいものと、即時でなければならないものが混ざっている点に注意してください。

4. 「期限が切れたら捨てる」を前提に手間を見積もっている

農林水産省は、「賞味期限は、定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限」であり、飲料水は賞味期限を過ぎても一律に飲めなくなるものではありませんとしたうえで、「賞味期限が切れたからと慌てて処分しないで、いざというときに役立ててください」と書いています。

ただし、社外の人に配る場面では別の手順が要ります。内閣府ガイドラインは一時滞在施設の対応として、「備蓄食料の提供については、賞味期限を確認するとともに、賞味期限切れの備蓄食料の提供については慎重に検討し、提供する場合には、その旨の事実を告げること」としています。

管理の実務に落とすと、次の2点になります。

  • 棚に何食あるかではなく、期限内が何食あるかで数える。在庫表の数量と、算定上の充足数は別の数字になります
  • 入れ替えの回数は、買うときにほぼ決まっている。長期保存水の賞味期限は5〜10年、通常のミネラルウォーターは約2年です。同じ会社が同じ期間保有しても、入れ替え作業の発生回数が最大5倍変わります

1人で回せるかどうかを左右するのは、実はこの2点目です。管理の負担は、買った瞬間に決まっています。水の選び方は会社の防災備蓄で、水は1人1日何リットル必要ですかに書きました。

5. 置き方の点検は、すでにある法定業務の中に入っている

一般的な事務所は、消防法施行令別表第一の(十五)項「前各項に該当しない事業場」に当たります。同施行令第1条の2第3項第1号ハにより、収容人員が50人以上であれば防火管理者を定めなければなりません。そして同施行令第3条の2第2項は、防火管理者の業務をこう定めています。

防火管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防火対象物について消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わなければならない。

備蓄品が廊下や階段にはみ出していないかを見る仕事は、新しく作る仕事ではなく、この「避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理」の中にすでにあります。東京都の事業者向けチェックリストにも「保管されている備蓄品が避難通路を塞ぐ障害物となる等、消防法令等の違反状態とならないようにしていますか」という項目が置かれています。条文と罰則までの順序は防災備蓄の倉庫はどのくらいの広さが必要ですかに整理しました。

ここで1人運用にとって使えるのが、訓練の回数の扱いです。消防法施行規則第3条第10項は、消火訓練及び避難訓練を年2回以上実施しなければならない対象を、令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項に限って列挙しています。一般の事務所である(十五)項は、この列挙に入っていません。回数は消防計画で定めることになります。

つまり、訓練の回を自社で決められる立場にあるということです。東京都のチェックリストは、まさにその使い方を挙げています。「地震を想定して自衛消防訓練等を定期的に実施する際に、併せて施設内待機に関する手順等についても確認し、必要な場合は改善を行うこととしていますか」備蓄のための新しい行事を立てるのではなく、すでにやっている回に議題を1つ足す。1人で回すなら、これがいちばん確実です。

6. 発災時の在庫確認と配給は、1人の仕事として設計されていない

東京都ハンドブック13ページ「発災に備えた体制の構築」は、「発災時には様々な業務が発生します。以下の業務例を参考に、社内の体制を構築しておきましょう」として、発生する業務を3つの群に分けて示しています。

業務の群含まれる業務
安全な場所への保護・帰宅抑制社内の安全な場所の確保と帰宅抑制の呼びかけ/外来者や来館者等の保護/避難誘導、負傷者救護、初期消火等/社内放送や無線などによる正しい情報の共有/建物内の危険な場所を共有し、立入禁止措置の実施
安否情報確認、受付設置、備蓄品管理従業員の安否確認/ヘルメット・手袋等の配布/各部門同士の情報連絡、受付業務の実施/備蓄品の在庫確認・配給業務
衛生・救護女性用の休憩・就寝スペースなどの確保/妊産婦、障害のある方などに対してどのような配慮が必要か把握/必要に応じた簡易トイレの設置
出典:東京都「帰宅困難者対策ハンドブック」令和5年3月 13ページ「発災に備えた体制の構築」(2026年9月16日確認)

備蓄品の在庫確認・配給は、3つの群のうちの1つの中の、4つの業務のうちの1つです。そしてこの3群は、発災直後に同時に走ります。平常時の管理を1人で回せることと、発災時に1人で配れることは、別の話です。

ここは人を増やさずに詰められます。配る作業そのものを減らす方法が、東京都のチェックリストに書かれているためです。「配布作業の軽減や個人の防災意識向上等の視点から、事前に備蓄品を従業員等へ配布しておくといった方法を検討していますか」。あらかじめ各自のロッカーや机に1人分ずつ渡しておけば、発災時に配る仕事が消え、置き場所も分散します。難点は期限の管理が分散することで、これは前述の「行の数」が増えることを意味します。発災時の手間と平常時の手間は、どちらかに寄せるとどちらかが増えます。

社内でどう説明するか

「人を増やしてください」では通りません。国の資料には、人を増やさずに体制を整えるための記述が、はっきり置かれています。稟議や上申にはこちらを使います。

社内で言われること使える原文
新しい会議体を作る余裕はない「BCM の改善は、企業・組織の事業計画等の企画立案に合わせて実施していくことが重要である。例えば、会社の主な経営サイクル(会計年度・決算期・営業報告など)に合わせて実施することが望ましい」(内閣府 脚注84)
新しい部署は作れない「全社的な体制は既存の組織を活用してもよい」(内閣府 脚注22)
担当者の負担が増えるだけだ「企業・組織内及び部門内で、これらの要員がBCMに携わることがプラス評価される仕組にすることが望ましい」(内閣府 脚注22)
そもそも現状がどうなのか分からない『BCP策定・運用状況の自己診断チェックリスト』を使う方法について「負担はほとんどなく、手軽に評価できるメリットがあります」(中小企業庁 3.5.1)
社内に詳しい人間がいない「体制の構築にあたり、必要に応じて影響ある分野の外部専門家の知見を得ることが望ましい」(内閣府 脚注23)
担当が代わったら分からなくなる「BCMの実効性を維持するためには、体制変更、人事異動、新規採用等による新しい責任者や担当者に対する教育が特に重要であり」(内閣府 5.1.3)/「教育や担当者の引き継ぎ等のためには、計画が文書化されていることが必要である」(内閣府 5.2)
出典:内閣府(防災担当)「事業継続ガイドライン」令和5年3月/中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」3.5.1(2026年9月16日確認)

この6行を1枚にまとめると、上申の中身は「人を増やしてほしい」ではなく「年1回の議題を経営会議に置いてほしい」になります。後者は費用がかからないので、通りやすくなります。

当社では、算定の根拠書をA4一枚・白黒印刷を前提に作り、根拠にした資料名と出典をそのページに載せる方針で設計しています。稟議に添える資料は、カラーでも複数枚でもなく、その場で回覧できる1枚のほうが通ります。数量だけを出して計算式を書かない資料にしないことも、同じ理由です。数量の根拠を聞かれたときに担当者が答えられる状態にしておくことが、翌年の予算につながります。費用の側の変数は防災備蓄の費用の相場はどのくらいですかにまとめています。

よくある誤解

よくある理解実際
従業員が増えるほど、管理の手間も比例して増える増えるのは棚卸しの物量と発注量。期限を見張る行の数と、年1回の点検・見直しの回数は変わらない
防災備蓄の管理には法的な義務がある備蓄の管理頻度を定めた法令はない。ただし備蓄品の置き方は消防法の対象で、収容人員50人以上の事務所は防火管理者を定める義務がある
担当者が1人でも、経営者の承認は要らない内閣府は経営者による年1回以上の見直しを求めている。中小企業庁も「次年度の改善提案につなげることは経営者の責務です」としている
一度そろえれば、変える必要があるのは期限が来たときだけ中小企業庁は更新の条件に「国や業界のガイドラインが改訂された場合」を挙げている。実際に令和8年1月に内閣府の企業向けガイドラインが改称され、令和8年4月にアレルギー表示の対象が変わった
訓練は年2回やらなければならない年2回以上が定められているのは消防法施行規則第3条第10項が列挙する防火対象物。一般の事務所(令別表第一(十五)項)は列挙に入っておらず、回数は消防計画で定める
事前に従業員へ配ってしまえば、管理が楽になる配る作業は消えるが、期限の管理は人数分に分散する。東京都は検討項目として挙げているが、手間が消えるわけではない

まとめ

  • 作業は1人でも回る。決定は1人では回らない。中小企業庁は、1人でよいのは家族経営のような企業までとし、役割分担がある会社では各部署からサブリーダーを求めている
  • 管理の手間は人数ではなく「期限を見張る行の数」で決まる。行を増やすのは買い足しと品目追加であって、従業員数ではない
  • 年1回の点検は担当者、年1回の見直しは経営者。内閣府ガイドラインは主語を分けて書いている。見直しは次年度予算の検討と連動させる
  • 見直しのきっかけは社外からも来る。国のガイドラインの改訂は更新条件に入っており、令和8年に実際に2件起きている
  • 置き方の点検は、すでにある防火管理の業務の中にある。新しい行事を立てず、自衛消防訓練等の回に議題を1つ足す
  • 人を増やす上申ではなく、年1回の議題を置く上申にする。「既存の組織を活用してもよい」「経営サイクルに合わせる」は、どちらも国の資料の原文

株式会社MOSHIMO HACKは、企業の防災備蓄の算定と、備蓄品の管理を代行しています。

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この記事を書いた人

株式会社MOSHIMO HACKは、非常用トイレをはじめとする防災用品の製造・販売と、企業の備蓄数量の算定を行っています。代表の寺澤は災害備蓄管理士(一般社団法人 防災安全協会)および防災士。「作っている側」と「資格を持って算定している側」の両方から、企業の備蓄について書いています。

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