買うものを決めるのは、4番目です。国が示している手順は、1に目的、2に拠点ごとの災害の確認、3に初動対応、4にヒト・モノ・カネ・情報の事前対策、5に平時の体制と見直しの順で、備蓄は4番目に入ります。2を済ませないと、何がどれだけ足りないのかが決まりません。そして1から3には、費用の記載がない項目が並んでいます。
根拠の数字
手順をいちばんはっきり書いているのは、中小企業庁の「事業継続力強化計画 策定の手引き」です。認定制度の申請書を書くための手引きですが、冒頭の1ページ目に「策定に向けた5つの検討事項」として、検討の順番がそのまま並んでいます。
| 順 | 検討事項(原文) | 中身 |
|---|---|---|
| STEP1 | 計画策定の目的 | 何のために取り組むのかを決める |
| STEP2 | 災害等のリスク確認・影響想定 | ハザードマップ等で拠点ごとの災害を確認し、ヒト・モノ・カネ・情報の4つの切り口で影響を考える |
| STEP3 | 発災時の初動対応の内容・手順 | 人命の安全確保、緊急時体制の構築、被害状況の把握・共有 |
| STEP4 | ヒト、モノ、カネ、情報への事前対策・事後対応 | 備蓄はここに入る |
| STEP5 | 平時の推進体制、訓練・見直し方法 | 年1回以上の訓練・教育と、年1回以上の計画見直し |
出典:中小企業庁「事業継続力強化計画 策定の手引き」令和8年7月17日版、1ページ。
STEP2の原文はこうです。「ハザードマップ等を活用しながら、事業を行っている拠点における災害等のリスクの確認、被害想定を行いましょう。被害想定を基に、『ヒト(人員)』『モノ(建物・設備・インフラ)』『カネ(リスクファイナンス)』『情報』の4つの切り口から自社にどのような影響が生じるかを考えます」。
そしてSTEP4の原文は「STEP2で検討したヒト、モノ、カネ、情報への影響を踏まえ、災害等に備え事前にどのような対策を実行することが適当か検討する」です。STEP4はSTEP2の結果を受けて動く工程だと、手引き自身が書いています。順番を入れ替えると、何を基準に選んだのかが説明できなくなります。
STEP3には、費用の記載がない項目が16件ある
同じ手引きの13〜15ページには、初動対応の具体的対策事例が一覧になっています。この一覧には「推奨」「コスト」「必要期間」の3つの欄があり、本文はこう書いています。「それぞれの項目において、P13の推奨項目(推奨欄に●が記載されている事例)について、対応ができているか確認してください。未対応の場合は優先的に対応することを推奨します」。
●が付いているのは、人命の安全確保・非常時の緊急時体制の構築・被害状況の把握と共有の3分野で合計16件です。この16件は、すべてコスト欄に金額の記載がありません(「−」または空欄)。避難場所の指定、避難誘導手順の作成、安否確認のための連絡先リストなど、いずれも買うものではありません。16件の中身と、これを稟議でどう使うかは防災備蓄の予算を、社内でどう通せばいいですかにまとめています。
予算が1円も付かない年でも、順番の1番目から3番目までは終わる
内閣府の「事業継続ガイドライン」も同じことを書いています。「初めから完璧なものを目指して着手に躊躇するのではなく、できることから取組を開始し、その後の継続的改善により徐々に事業継続能力を向上させていくことを強く推奨する」。同じ文書に「多額の出費を伴わなくても一定の対応は可能であるため、資金力や人的な余裕がない企業・組織も含め、全ての企業・組織に導入が望まれる」ともあります。予算が付かなかった年を、何もしなかった年にしなくて済みます。
この手順は、誰向けに書かれたものか
ここは切り分けが必要です。この手引きは中小企業等経営強化法にもとづく認定制度の申請書を書くためのもので、認定の対象は中小企業者に限られます(製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5千万円以下または50人以下、サービス業は5千万円以下または100人以下ほか)。大企業は認定を受けられません。
ただし、ここで使うのは順番であって、制度ではありません。大企業向けの内閣府「事業継続ガイドライン」も、事業継続戦略・対策の検討は分析のあとに置いています。認定を取らない会社でも、検討の順番として読めます。
| 資料 | 性質 | この記事での使い方 |
|---|---|---|
| 中小企業庁「事業継続力強化計画 策定の手引き」 | 認定制度の申請手引き。対象は中小企業者 | 検討の順番と、対策ごとの必要期間 |
| 内閣府「事業継続ガイドライン」令和5年3月 | 企業規模を問わない指針。義務ではない | 着手の考え方と、見直しの頻度 |
| 東京都「帰宅困難者対策条例」 | 都内の事業所にかかる条例。3日分の備蓄は努力義務 | 備蓄の対象人数の考え方 |
3つ目だけ性質が違います。東京都の条例は、備蓄そのものを名指ししている唯一の系統です。手引きとガイドラインは「事業を続けるための計画」の話で、備蓄はその中の一項目にすぎません。同じ「備蓄」という言葉でも、どちらの系統から来た数字なのかで意味が変わります。これは後の「実務でつまずく点」の1番目に直結します。
何を1と数えるのか
見直しの作業で数えるのは、品目の数ではありません。拠点の数です。ハザードマップは拠点ごとに違うので、STEP2は会社で1回やる仕事ではなく、拠点の数だけ発生します。
ただし手引きは、その負担に上限も置いています。「複数の拠点を持つ場合、個々の拠点ごとの詳細な被害想定までは不要です」。記載例として挙がっているのは、この程度の粒度です。
当社の事業拠点における事業活動に影響を与える主な自然災害は、所在地の自治体が公開するハザードマップで確認。
中小企業庁「事業継続力強化計画 策定の手引き」6ページ 記載例その2
・○○県○○町:震度6弱以上の地震が想定される、浸水想定地域 1m以上浸水
・○○県○○市:震度5強以上の地震が想定される。
・○○県○○市:特に大規模地震や水害の想定がない地域である。
拠点ごとに1行です。3拠点なら3行で足ります。そのうえで手引きは「ハザードマップ等の根拠資料が記載されていない場合は、内容の修正が必要となります」とも書いています。粒度は粗くてよいが、出どころは必ず書く。この2つがセットです。
備蓄は「影響」ではなく「脆弱性」の側にある
手引きは、影響の考え方を掛け算で説明しています。「事象と脆弱性を考慮した際に、自社が受けると想定される内容が『影響』です。ここでは、『事象』と『脆弱性』を掛け合わせて考えます」。
| 要素 | 中身 | 備蓄はどこに入るか |
|---|---|---|
| 事象 | 地震による大きな揺れ/断水する(上下水道が利用停止となる)/停電する など | 入らない |
| 脆弱性 | 「従業員数に対し、十分な量の物資を備蓄していない」「上下水道の停止に備えた対策が行われていない」など | ここ(区分は「モノ」) |
| 影響 | 事象×脆弱性の結果として自社に生じること | 入らない |
出典:同手引き 9〜10ページ「被害想定の考え方」「事象リスト」「脆弱性リスト」。
備蓄が足りているかどうかは、単独では判定できません。掛ける相手の事象が決まって初めて、その備蓄が脆弱性なのかどうかが決まります。断水が想定されない拠点と、1mの浸水が想定される拠点では、同じ在庫でも意味が違います。「うちは水を何箱持っているから大丈夫」という言い方が社内で通らないのは、掛け算の片方しか言っていないからです。
なお、脆弱性リストで備蓄が置かれている区分は「ヒト」ではなく「モノ(建物・設備・インフラ)」です。人数の話だと思って人事に聞きに行くのではなく、建物と設備の話として扱われています。
計算例:1年をどう並べるか
手引きの対策事例一覧には「必要期間」の欄があります。着手してから形になるまでの目安です。これを使うと、費用の話をしなくても順番が決まります。
| 対策事例(原文の要約) | 必要期間 |
|---|---|
| 避難場所・安全エリアの指定/災害対策本部の設置基準の決定 | 1時間~ |
| 安否確認のための連絡先リストの作成/机の配置の見直し | 1日~ |
| 避難誘導手順の作成/避難経路の周知/備蓄品の整備 | 1週間~ |
| 資金面の想定被害の把握/保険の加入状況の確認 | 1ヶ月~ |
| 建物の耐震診断・耐震補強工事/浸水対策(防水板、防水堤) | 3ヵ月~ |
出典:同手引き 12〜19ページの対策事例一覧より、必要期間の欄。同じ表にはコストの欄もありますが、金額は会社の条件で変わるため本記事では扱いません。
備蓄品の整備は「1週間~」の側です。つまり、いちばん速く終わる部類に入ります。ここから並べ方が出ます。
| 時期 | 従業員100人・1拠点 | 従業員300人・3拠点 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 目的を1段落書く。ハザードマップで拠点の災害を1行にする | 同じ作業を3拠点分。3行になる |
| 2か月目 | 初動対応の推奨16件を、できているかだけ確認する | 16件を拠点ごとに確認。本部と支社で担当を分ける |
| 2か月目 | ここで、期間が3ヵ月かかる対策(耐震診断、浸水対策)の見積り取得だけ先に走らせる | |
| 3か月目 | いまある備蓄の棚卸し。品目ではなく期限で並べる | 拠点ごとに棚卸し。台帳を1本に統合する |
| 4か月目 | 対象人数と日数を確定させ、差分を出す | 拠点ごとに人数が違うので、拠点ごとに差分を出す |
| 5か月目 | 差分だけを稟議にかける | 拠点分を合算し、拠点別の内訳を添える |
| 6か月目以降 | 3ヵ月かかる対策が形になる。並行して走らせた分がここで効く | |
| 毎年同じ月 | 見直しの月を決めて固定する | |
4か月目の「対象人数」と「日数」が、この表でいちばん詰まりやすいところです。対象人数の出し方は従業員100人の会社は、防災備蓄を何人分そろえればいいですかに、日数の決め方は防災備蓄は何日分そろえればいいですかにまとめています。
日数の置き方だけ、ここでも触れておきます。公表されている基準は3日分です(内閣府・東京都)。当社では、到達点を7日分、必須ラインを3日分と置いています。3日分は完了ではなく第1段階です。見直しの1周目で3日分をそろえ、2周目で7日分に伸ばす、という並べ方が現実的です。
実務でつまずく点
1. 備蓄の「分母」は、国の資料の中に2種類ある
手引きの事前対策事例には、備蓄についてこう書かれています。
災害発生直後から活動する従業員数(対策本部要員)を基に、備蓄しなければならない物資・量を検討、準備する
中小企業庁「事業継続力強化計画 策定の手引き」17ページ 対策事例17
※簡易トイレ、浄水器、飲食料、毛布、保温シート、カセットコンロ・ボンベ、ラジオ、救急セット、衛生用品
分母が「対策本部要員」になっています。全従業員ではありません。一方で東京都の帰宅困難者対策条例にもとづく考え方では、対象は発災時に事業所にいる従業者全員で、そこに外部の帰宅困難者のための共助分として10%程度を上乗せします(この10%の上乗せは東京都内の拠点が対象で、都外の拠点に一律で乗せるものではありません)。
| 系統 | 分母 | 目的 |
|---|---|---|
| 中小企業庁の手引き(事業継続) | 災害発生直後から活動する従業員数(対策本部要員) | 事業を止めないために残る人を支える |
| 東京都条例(帰宅困難者対策) | 発災時に事業所にいる従業者全員+外部の帰宅困難者のための10%程度 | 一斉帰宅を抑制し、待機を維持する |
どちらかが間違っているのではありません。目的が違うので分母が違います。事業継続の観点だけで数えると、その場に残る大多数の従業員の分が抜けます。逆に帰宅困難者対策だけで数えると、復旧作業にあたる少人数が長い期間使う物資が抜けます。
そしてこの違いは、稟議でそのまま効きます。予算が通らない理由は、たいてい金額の大きさではなく、数の根拠が自社の判断に見えることです。「全従業員×3日分」とだけ書かれた申請は、なぜ全従業員なのかを問われた時点で止まります。どちらの系統で、なぜその分母を選んだのかを1行添えるだけで、社内で説明できる数字になります。正確に数えることが、そのまま予算を通す近道です。
2. 拠点ごとに詳細な被害想定をやろうとして、そこで止まる
拠点が5つも10つもある会社で、STEP2を全拠点分まじめにやろうとすると、それだけで半年が溶けます。手引きは「個々の拠点ごとの詳細な被害想定までは不要です」と明記しています。求められているのは、拠点ごとに想定される災害を1行書くことと、その根拠資料の名前を書くことです。
もうひとつ、範囲にも上限があります。「自社の事業活動に甚大な影響を与える可能性が高い自然災害等を一つ以上記載してください(より多くの災害等に対応することが期待されますが、全ての自然災害等を網羅する必要はありません)」。地震・水害・風害・感染症・サイバー攻撃を全部そろえてから着手する必要はありません。
3. 期間の長い対策を、あとに回してしまう
備蓄品の整備は1週間~、耐震診断と補強工事は3ヵ月~です。順番どおりに1つずつ片づけると、期間の長いものが最後に来て、年度内に終わりません。
検討の順番と、着手の順番は別です。検討はSTEP1から順に進めますが、3ヵ月かかる対策の見積りだけは、STEP2の段階で先に動かしておきます。備蓄は速い側なので、あとから差し込んでも間に合います。
なお、棚や什器の固定も「1週間~」の欄です。備蓄品を置く場所を決める話と、その棚が倒れない話はセットです。置き場所の決め方は会社の備蓄品は、どこに置けばいいですかにまとめています。
4. 棚卸しを「品目」から始めて、期限の持ち主が決まらないまま終わる
いまある備蓄を数えるとき、品目別に並べると「水が何箱、食料が何食」という一覧ができます。これは買い足しの計算には使えますが、翌年また同じ作業をやり直すことになります。
棚卸しは期限の早い順に並べます。そうすると一覧がそのまま入れ替えの予定表になり、次に何をいつ買うかが自動的に出ます。品目を絞る判断そのものは防災備蓄で、絶対に必要なものと、そうでもないものはありますかに、その台帳を誰が持つのかは防災備蓄の管理は、総務が1人でも回せますかにまとめています。
5. 見直しの「月」を決めていない
手引きのSTEP5には、こう書かれています。「『訓練・教育の実施』、『計画の見直し』については、実施予定月も合わせて記入していただき、社内での定期的な実施を心がけてください」。申請書に月を書く欄があります。
内閣府のガイドラインは、頻度と主語をもう少し細かく書いています。担当者による点検が年1回以上、経営者による見直しが年1回以上で、主語が分かれています。さらに脚注には「BCMの改善は、企業・組織の事業計画等の企画立案に合わせて実施していくことが重要である。例えば、会社の主な経営サイクル(会計年度・決算期・営業報告など)に合わせて実施することが望ましい」とあります。
見直しの月は、防災の都合ではなく会計の都合で決めます。次年度予算を検討する月に置けば、見直しの結果がそのまま予算の材料になります。防災週間に合わせて9月に置くと、予算を組む時期から半年ずれることがあります。
なお、見直しのきっかけは社内の変化だけではありません。中小企業庁の指針は更新すべき条件の1つに「あなたの会社の業務に関連する、国や業界のガイドラインが改訂された場合」を挙げており、備蓄に関係する改訂はこの1年でも実際に起きています。その中身は防災備蓄の管理は、総務が1人でも回せますかにまとめてあるので、見直しの議題を組むときに確認してください。
手引きは見直しを2種類に分けています。「①業務変化への対応、②計画そのものの見直しの二つに分けられます」「それぞれの視点から計画の見直しをする責任者や、見直しの時期をあらかじめ定めておくことが重要です」。人事異動や拠点の増減が起きたときは①、年1回の定例は②です。
もうひとつ、月を決めておくと拾えるものがあります。手引きはSTEP5で「平時から定期的に訓練を実施することで、計画の効果や課題の理解につながり、より実効性の高い計画とすることができます」と書いています。棚卸しは在庫の数を数える作業なので、数が合っていれば問題が見えません。取り出してみて初めて分かる不足は、訓練でしか出てきません。鍵が誰の机にあるか、箱を開ける道具があるか、といった類です。
訓練といっても大がかりなものである必要はありません。手引きが挙げている教育活動の例には「毎月の役員会議や全社勉強会などの際に、短い時間でも構わないので計画に関する報告の時間を作る」が入っています。
6. 1番目(目的)を飛ばして、2番目から始めてしまう
STEP1は「計画策定の目的」です。ハザードマップを見るより前に置かれています。作業らしい作業がないので飛ばされやすく、実際、見直しの資料が2番目から始まっている会社は珍しくありません。
飛ばすと、あとで効いてきます。手引きは目的の書き方についてこう指定しています。「自社が被災した場合のサプライチェーンや地域経済への影響度や、従業員に対する会社の姿勢について、可能な限り具体的に記載してください」。観点として挙がっているのは、従業員及びその家族に対する責務、自社の企業理念・経営方針、顧客・取引先や地域経済に対する影響の3つです。
これは、削るときの基準になります。予算が足りず品目を絞る場面で、何を残して何を落とすかを決めるのは金額ではありません。「従業員に対する会社の姿勢」をどこに置いたかです。目的が1段落書いてあれば、削る判断がその段落との照合で済みます。書いていないと、毎回ゼロから議論することになります。
所要時間は1段落です。手引きの記載例も数行しかありません。順番の1番目にあって、いちばん短く終わる工程です。
社内でどう説明するか
この記事の内容は、稟議より手前の「進め方の承認」で使えます。金額を出さずに承認を取れるので、予算の話とは別便にできます。
上申の型(4行)
1. 国が示す検討手順は5段階で、備蓄の購入は4段階目にあたる。当社は現在【 】段階目にいる。
2. 1〜3段階目のうち、費用の記載がない推奨項目が16件ある。うち当社で未対応は【 】件。
3. 期間が3ヵ月かかる対策(耐震・浸水)があるため、見積り取得のみ先行させたい。
4. 見直しの定例を、次年度予算の検討月である【 】月に置きたい。費用は発生しない。
4行目がいちばん通りやすく、いちばん効きます。年1回の議題を経営会議に置いてもらうだけなら、お金がかからないからです。そして内閣府のガイドラインが「経営者は、BCMの見直しを、自社の事業戦略や次年度予算を検討する機会と連動して、定期的(年に1回以上)に行う必要がある」と書いているので、担当者の思いつきではないと示せます。
金額を伴う稟議のほうは、防災備蓄の予算を、社内でどう通せばいいですかにまとめています。
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| まず何があるか数えるのが先 | 棚卸しは3番目以降。先に拠点の災害を確認しないと、多いのか少ないのかを判断する基準がない |
| 予算が付いてから動く | 推奨16件はコスト欄に金額の記載がない。予算が付かない年にも進む工程がある |
| 全拠点・全災害をそろえてから始める | 手引きは「詳細な被害想定までは不要」「全ての自然災害等を網羅する必要はありません」と明記している |
| 備蓄は人数の話なので人事の管轄 | 脆弱性リストでの区分は「モノ(建物・設備・インフラ)」。建物と設備の話として整理されている |
| 目的を書くのは形式的な手続き | 目的は、予算が足りず品目を絞るときの判断基準になる。手引きは「従業員に対する会社の姿勢」を書けとしている |
| 見直しは防災週間に合わせる | 内閣府は会計年度・決算期など経営サイクルに合わせることを望ましいとしている |
| 3日分そろえば見直しは終わり | 3日分は第1段階。当社では到達点を7日分と置いている |
まとめ
- 買うものを決めるのは4番目。国の手順は、目的→拠点の災害の確認→初動対応→事前対策→平時の体制と見直しの順
- 備蓄は「事象×脆弱性=影響」の脆弱性の側にある。掛ける相手の事象が決まるまで、過不足は判定できない
- 初動対応の推奨16件は、すべてコスト欄に金額の記載がない。予算の有無と関係なく着手できる
- 拠点ごとの被害想定は1行でよい。ただし根拠資料の名前は必ず書く
- 備蓄品の整備は「1週間~」の速い側。3ヵ月かかる対策の見積りだけ先に走らせる
- 備蓄の分母は、事業継続の系統では「対策本部要員」、帰宅困難者対策の系統では「従業者全員+10%程度」。どちらで数えたかを書く
- 見直しは年1回以上。月は防災の都合ではなく、次年度予算を検討する月に置く
- 1番目の「目的」を飛ばさない。削る場面で、何を残すかの基準になるのはそこだけ
この記事の出典
- 中小企業庁「-中小企業等経営強化法- 事業継続力強化計画 策定の手引き」令和8年7月17日版(1ページ「計画策定の手順」、5〜6ページ「ハザードマップ等の入手方法」「記載例」、9〜10ページ「被害想定の考え方」「事象リスト」「脆弱性リスト」、12〜19ページ「対策事例一覧」、22〜23ページ「平時の推進体制の整備、訓練及び教育の実施」)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/download/keizokuryoku/tebiki_tandoku.pdf(確認日:2026年9月19日) - 内閣府(防災担当)「事業継続ガイドライン -あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-」令和5年3月(Ⅰ章、Ⅶ章、脚注84)
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline202303.pdf(確認日:2026年9月19日) - 中小企業庁「事業継続力強化計画」(認定制度の概要・対象となる中小企業者の範囲)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html(確認日:2026年9月19日) - 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/(確認日:2026年9月19日) - 中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」3.5.2 BCPの維持・更新を行う
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_b/bcpgl_03b_5_2.html(確認日:2026年9月19日) - 東京都「東京都帰宅困難者対策条例」(平成24年条例第17号)第7条
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004283.html(確認日:2026年9月19日)
当社は非常用トイレをはじめとする防災備蓄品を扱っており、備蓄数量の算定と、見直しの手順づくりについてのご相談も承っています。
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